先日、樹木希林さんが亡くなられました。全身癌ってことはなんとなく聞き及んでいましたが、どんな治療を受けておられたのか、いろんなメディアで紹介されていますね。
樹木さんが受けておられたのは「四次元ピンポイント照射療法」という放射線療法の一種だとのこと。鹿児島県のUMSオンコロジークリニックで実施されているようです。
樹木さんも過去のバラエティー番組で「消失している」と語っておられるので、効果があることは間違いないようです。
四次元というのは空間の3Dに時間軸を足した4Dという意味で、時間軸とは、患者が呼吸することなどにより癌の位置が微妙にズレるのを補正してより精密にピンポイントで癌を狙えるのだそう。
実際に使用している放射線はX線とのことですので、物理的には従来の放射線と同じだけど、狙える精度が圧倒的に高い、すると正常細胞を傷つける度合いが少なくなるので、放射線のエネルギーを高くできるため、より多く癌を攻撃できるってことになるということですね。
自由診療で費用は150~300万とのこと。この治療で使う医療機器は特別に開発され、他にはないものですから、これくらいかかるのも不思議ではないと思います。
ただ、以前は健康保険適用(部分的に?)だったそうで、なぜいまそうでないか?
鹿児島県から自由診療にするよう指導が入ったとのことです!!
さて、健康保険が使えないという点では自由診療とも言えるのが「先進医療」、以前は「高度先進医療」といわれていたものですが。
自分的に気になってるのは、「粒子線治療」ですね。
癌種によって健保適用にもなるようですが、肺がんでは自由診療となります。
こちらは使用する放射線がX線ではなく、陽子線など、原子核の粒子でX線よりピンポイントで癌を狙えるんですね。
ここで思うのは「先進医療」はなぜ健康保険適用ではないのかってこと。
以前は高度先進医療って言ってたくらいですから、科学の粋を結集した凄く効果的な治療法なのではないのですか?
お金がない人はこの科学の粋は利用できないのですか?
なんて考えてたんですけど。で、調べてみたら、結局のところ
「効果があるかどうかわからないので、健保適用にはできない」ってことだそうで。
なんじゃそりゃ!!
そもそも「先進医療」を認定してるのは厚労省なので、あたりまえですが、そんなでたらめな治療でないことは明らか。
しかも民間の医療保険はみんなオプションで「先進医療特約」を用意している。保険会社もちゃんとした効果がある治療だからこそこのオプションを用意しているのでしょう。
とすれば、厚労省は本来健保で賄うべき医療費を民間の保険会社、ひいては患者個人に負担させるために、特に費用がかさむ治療を「先進医療」として指定しているのでは?
ほんで、私たち庶民は「やっぱり最先端の技術と設備を使ってるし、高額になるのも仕方ない、なんせ高度先進医療だから」とか、なんかその「高度先端技術」っていう印籠を前に妙にかしこまったり、妙に納得してしまうんです。
最近大阪にも「大阪重粒子線センター」ってのができたけど、
なんで効果がはっきりしていない治療法の施設を作るんですか?
重粒子を発生させるためには大型の加速器とか、結構大変な設備が必要なんでしょ?
それで効果が実証できてないから健康保険適用できない?
道楽で作ってるんですか?
なんか作らなければならない特別な事情があるのですか、大阪府、大阪市、国、財界、医療機関、その辺のなんかの事情?
「兵庫県に負けとったらあかんがな、大阪にも作らんとあかんで、万博あるかもしれんし、ぼーっとしてられへんで!!」
みたいなことですか?
確かにその治療を必要としておられる患者さんは少なからずいらっしゃるのでしょうが、それなら健保使えるようにしてくださいよ。
シャレにならんくらい莫大な費用を使って施設作ったんでしょ、
多くの人に使っていただいてこそでしょう?
(自分は医療保険の先進医療特約に入ってますから、払えないから拗ねてるわけではないですよ)
どう考えても患者目線で作ったとは思えないのだが、これを穿った見方というのかな・・
確かにまだエビデンスが少なくてという事情はあると思いますが、この施設が日本の粒子線治療の施設として6番目って言ってますから、他の施設での治療成績を積み重ねれば効果のエビデンスは構築できそうな気がするけど、いかんせんただの素人目線なのか。
どうしても症例が足りないのなら、健保適用にするためのデータが揃うまでは治験として無料でやればいいのでは?例えば新薬の開発って普通そうするのではないのかな?そして健保適用になれば利用者も増えて、初期投資回収できるのでは?
現状では
高額だから利用者少ない→データ集まらない→健保適用できない→高額
っていうネガティブループになってますよね。
そもそも、この重粒子線治療、費用が300万とか言われてますが、確かに高額ですけど、免疫チェックポイント阻害剤のオプジーボは発売当初1年間使ったら3500万円という高価な薬剤ながら、健保適用でした。その後、効果の範囲が広く認められ、使用者が増えたこともあり、今はかなり値下がりしています。健保適用することで費用が下がる、という効果もあるんですよね。
ですから、300万という費用は今すぐ健保適用したとしても、健保組合の経営が傾いたりしないと思うんですね、なのに健保適用とならない理由はたった一つしかないわけで、それは「効果が実証されていない」から。
誤解無きように付け加えますが、実際に効果がないとは言ってません。臨床データが少い、ということです。
保険適用できるだけの効果が実証されてない医療を厚労省が「先進医療」のラベルを張って患者に費用を負担させてるってのがものすごく不自然で不気味に感じます。
それから、老婆心ながら、医療の技術はどんどん発展していくなか(光免疫療法など)、何年か経ったら無用の長物になっていなければいいけどなあ、なんて思ってます。
それにつけても保険適用か、そうでないか、なかなか複雑な事情があったりするのかもしれません。
お前たちちっともクリックしねえなあ、オラ、がっかりすっぞ!!
(野沢雅子、もとい、悟空の声で読んで下さい)

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